消費者金融を利用している人は、全国で1,400万人いるそうです。
また、何ヶ所もの消費者ローンなどから借金をして、返済することが難しくなってしまっている「多重債務者」と呼ばれる人たちが、200万人以上いるそうです。
多重債務者の中には、厳しい取り立てなどによって、自殺にまで追い込まれてしまうケースも少なくなく、深刻な社会問題として注目されています。
多重債務を解決する方法は、「債務整理」といいます。
債務整理には、「任意整理」、「特定調停」、「民事再生」、そして最終手段として「自己破産」という4つの方法があります。
どの方法を選ぶかについては、借り入れの状況などによって事情が異なってきます。
多重債務を抱えているのなら、債務整理という方法によって、借金を返済しやすくして、多重債務から抜け出し、生活を再生させましょう。
債務整理をすると、信用情報機関のブラック情報に載ることになりますが、完済してから5年程度で消えてしまうので、それほど心配しなくても大丈夫です。
また、債務整理の手続きを行なえば、債権者からの取り立てがなくなり、気持ちも楽になると思います。
【任意整理】
任意整理とは、公的機関(裁判所など)を利用しないで、弁護士や司法書士など法律の専門家によって、債権者と私的に話し合いを進めます。
そして、「利息制限法」に基づき、利息を一部カットしたり、借金を減額したり、返済期間や返済金額などを決めたりして、和解を求めるという方法です。
多重債務者本人が債権者に直接かけ合っても、和解に応じてもらえることは少ないと思うので、債務者個人が任意整理を行なうのは避けた方が良いです。
だから、事実上、任意整理は、法律の専門家に頼んだ方が安心です。
任意整理を行なうこと、債務者にとって、さまざまなメリットがあります。
場合によっては、債務を一部だけ整理できることがあります。
また、債務額を減らしたり、払い過ぎていた分の金額を取り戻せたりすることもあります。
さらに、自己破産のように、市町村役場の名簿に「破産者」として載ることがなく、仕事において支障が出てくることもありません。
【特定調停】
債務整理のうちの「特定調停」とは、簡単に言えば、裁判所の力を借りて行なう任意整理です。
ただ、任意整理と違うところは、特定調停では、多重債務者本人が裁判所に出向く必要があります。
しかし、かかる費用がかなり安く、債権者からの協力を得られることもあります。
また、「利息制限法」によって、債務額を再計算し、支払い過ぎていた利息の分を元金へ当てることができます。
つまり、多重債務者の借り入れた期間が長いほど、債務の残高が少なくなり、0になることもあります。
ところが、債務額がとても高かったり、極端に収入が少なかったりする場合は、特定調停を受けられない場合があるので、十分に確認してから申し立ててください。
特定調停には、メリットとデメリットがあります。
まず、主なメリットを挙げます。
・特定調停を申し立てている期間は、返済が止まります。
・債務整理のほかの方法と比べ、費用がかなり安いです。
・債務者本人が債権者と話し合う必要はなく、交渉は調停委員が行います。
・和解が成立した後の残高に対して、利息が付きません。
次は、特定調停の主なデメリットです。
・特定調停の和解後、債務の支払いを2回連続で怠ると強制執行となります。
・任意整理とは違い、過払い金の返還は見込めません。
・ブラックリストとして信用情報機関に載ってしまいます。
・特定調停後、数年の間は、クレジットカードや借金を新たに作ることはできません。
「グレーゾーン」金利は、支払う義務はないので注意しましょう。
「利息制限法」では、利息の上限が決められており、元本100万円以上の場合は年15%で、10万円以上100万円未満は18%、10万円未満は20%までとなっています。
これを超えるような利息は無効となるので、支払う義務はないのです。
ただ、貸した側の請求や受取りに対しての罰則はありません。
一方で、「出資法」は、利息上限が29.2%と定められており、それ以上の融資には刑事罰があります。
この利息制限法と出資法との間の利息は、「グレーゾーン」と呼ばれています。
多くの消費者金融は、このグレーゾーン金利にあたる範囲で貸付をしています。
任意整理や特定調停などについては、利息制限法の上限金利に、金利を引き直して再計算することによって、債務の額を減らすことを図ります。
【民事再生】
債務整理の1つ「個人版民事再生法」とは、裁判所が認めた再生計画に基づき、借金を圧縮し、原則として3年間で返済をするという手続です。
個人版民事再生法を行なうには、複雑な手続きをする必要があるので、できるだけ、弁護士・司法書士などの法律の専門家に頼みましょう。
個人版民事再生法のメリットを挙げます。
・債務総額を大幅に圧縮できます。
・住宅ローン特則を利用することによって、自宅を手放さずに、住み続けられます。
・自己破産のような免責不許可事由がありません。
・自己破産のように仕事に関して制限されることがありません。
・手続きが始まれば、債権者による強制執行はできません。
次に、個人版民事再生法のデメリットを挙げます。
・国の機関紙「官報」に掲載されてしまいます。
・利用するには制限があります。
・複雑な手続きで、とても時間がかかります。
・再生計画案通り返済ができない場合は、再生計画を取り消す可能性があります。
・再生計画の返済と同時に、住宅ローンの返済もしなければなりません。
・ブラックリストとして信用情報機関に載ってしまいます。
・数年間は、クレジットカードや借金を新たに作れません。
ただ、個人版民事再生の手続は、債務整理の手続の中で、最も時間のかかる手続です。
弁護士や司法書士が受任をし、認可の決定がおりてから、債権者への支払いが開始するまで、約1年程度がかかります。
【自己破産】
法律的に借金を消滅させて、債務者の生活を再生させる方法が「自己破産」です。
利息制限法で制定された利息まで減らされた金額を、原則として3年間で毎月支払っていき、完済させるのが「任意整理」です。マイホームを持っている場合など、住宅を処分することなく、大幅に減額された金額を、原則3年間で月々支払っていくというのが「個人民事再生」です。
ただ、自分の借金の状況には、どの方法が最も有利なのか、はっきり判断できないと思います。
自己破産は、原則として、免責されることで、借金の全てがなくなります。
だから、どうしようもない多重債務生活に苦しんでいる人が、これからの生活を再生させるためには、経済的に最も大きなメリットのある手続きと言えます。
そのため、債務整理の手続きの際は、自己破産をまず検討して、その人にとって、自己破産におけるデメリットが不利となる場合には、それ以外の方法を検討することとなります。
自己破産をするには、現在の収入と財産では、将来的に、借金を返済していくことが、非常に難しい状況(支払不能)であることが必要になります。
支払不能かどうかは、どれだけ借金総額があるか、という決まった基準はなく、あくまでそれぞれの状況によって判定されます。
ただ、目安として、所得の中で自由に使うことができるお金である「可処分所得」を算出することで、自分が支払不能かどうかを判断することができます。